2018年7月アーミッシュ村滞在ハイライト日記 <後編>

最も厳格な規律を持つアーミッシュのグループ「シュワルツェントルーバー」

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↑シュワルツェントルーバーのヘンリーさんの野菜販売所。完全オーガニックの作物を販売しています。

 

今回の旅で印象深かったことの一つに、シュワルツェントルーバーの人達との交流があります。
アーミッシュはおおまかにいくつかのグループに分かれていて、その中で最も規律が厳しいと言われているのがこのグループ。

(私の友人はオールドオーダーアーミッシュというグループで、他にもニューオーダーアーミッシュやビーチアーミッシュなどのグループがあります)

これまでシュワルツェントルーバーの方と直接交流する機会があまりなかったので、貴重な経験となりました。

ハイライト日記前編で言及したフォトグラファーさんの隣人がこのシュワルツェントルーバーの家族でして、彼に紹介してもらい、お家を2回ほど訪問させて頂いたのです。

シュワルツェントルーバーの家にお邪魔するのもはじめて。オールドオーダーアーミッシュの家とは違い、家電製品はまったくなく、額縁などの装飾品のみならず、カーペットやソファなども見当たりませんでした。

興味深かったのは、シュワルツェントルーバーの服が、他のグループのアーミッシュの服と少し違うこと。女性のワンピースは前開きのデザインで、ボタンではなくマチ針を10本くらい綺麗に縦列に刺して留めています。
よく確かめられなかったのですが、ボンネットの素材も違いました。オールドオーダーアーミッシュは紙のような固めのポリエステル素材ですが、シュワルツェントルーバーのは柔らかいコットン素材でできているよう。

さらに、男性のシャツのデザインも少し違います。5つボタンくらいの開襟シャツになっていて、素材もコットンではなくポリエステルのようなパリっとしたハリのあるものでした。女性も男性も半袖ではなく長袖をたくし上げて着ています。もしかしたら、半袖が規律に反するのかもしれません。(要調査)

個人的にオールドオーダーアーミッシュの服は熟知しているつもりですが、シュワルツェントルーバーの服はまだ未知の世界。1枚お借りして構造やデザインなどくまなく見てみたい衝動に駆られるも、初対面でそんなことを申し出たらさすがにあやしいだろうと思い、遠慮しておきました。

子どもがかぶっていたボロボロのストローハットについて色々と聞いていたら、私の執着心を察したのか、お父さんのジョーが一つ、新品のハットをプレゼントしてくれました。なんて嬉しいプレゼント!!!

後日、日本から持ってきたお菓子をお礼に差し上げました。さらに、ありがた迷惑かもしないけれど折り紙レッスンを開催させて頂き、子ども達とお父さんお母さんに折り鶴を教えました。

「日本の子ども達はこんな複雑なものを作れるのか?」と驚いていました。

シュワルツェントルーバーは厳格・保守的と言われていますが、彼らの暮らしぶりを見て納得。オールドオーダーアーミッシュほど文明の利器を取り入れていないし、より、質素・簡素な生活をしていました。

パン作りとアーミッシュの子育て

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今回の滞在では特に「アーミッシュの食」について注目していました。アーミッシュの友人デブラやそのお母さんに、「パイやパンを焼く機会があれば見物させて!」とお願いしたところ、パン作りを見させてもらえることに。

昔はパンをこねるのも手でやっていましたが、今ではパンこね機を使うようになっています。なんせ、週に何回もパンを焼きますから・・・。パンこね機を使えるようになって「だいぶ楽になったわよ!」とお母さん。これまでの人生で何十回もパンを焼いていますから、とっても手際よく作業が進んでいきます。

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その間、小さい子どもは日本からのお土産の紙風船で遊んでくれていました。この子はいつも私に色々と教えてくれるマリーという女の子。今回も敷地内のツアーをしてくれたり、お気に入りの場所として家の裏にある森に連れていってくれました。とっても優しくて気の利く女の子です。

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マリーの一番のお気に入りは、この森の中。家族でピクニックをする場所だそう。マシュマロを焚き火で溶かして食べるのが好きなんだって。

アーミッシュの生活は子どもにとっては最高の環境なのでは? とよく思います。私の住むような賃貸の狭いアパートの一室で子どもを育てるより、こんな風に広い敷地と自然に囲まれた環境の方がずっと良いはず。日本のお母さんは子どもたちを公園に連れていくのが日課ですが、アーミッシュに公園は不要。家が広いし、庭が広いし、納屋には動物がたくさんいるし、裏庭にはこんな隠れ基地もある。

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↑納屋にいた子猫

砂場がなくても土いじりできるし、動物園にいかなくても動物と触れ合える。子どもにとって良い環境なだけでなく、お母さんにとっても子育ての負担が軽いのです。

公園や動物園に毎日連れて行かなくても自分の家の敷地内で子どもをのびのびと遊ばせることができる。自分の親や兄弟姉妹が子育てを助けてくれる。日本のいわゆる「ワンオペ育児」とは無縁。だから、子どもを安心して産むことができるし、出生率も高く、人口も増え続けています

日本でも、田舎に行けばこんな暮らしが可能ですね。都会は、仕事をするには良い環境だけど子育てには向かないのかも。

そんなことを考えているうちに、パンが焼きあがってました。

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シュワルツェントルーバーのバスケット屋さん

アーミッシュコミュニティのバックロードを車で走っているときに見つけたバスケット屋さん。訪ねてみたら、シュワルツェントルーバーのご家族のお店でした。

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今まで何件かバスケット屋さんに行ったことがあったけど、ここは工房もお店も広くて商品も多く見応えがありました。奥まった場所にあるにも関わらず、一般のアメリカ人のお客さんも何人かお買い物していました。

店主のおじちゃんがとっても明るい話好きの方で、お願いしたら工房を見せてくれました。「もうすぐでお昼の時間なんでね、子ども達がお腹をすかせてるからちょっとだけだよ」と笑いながら案内してくれます。アーミッシュの作るバスケットは、たいてい底の部分に木を使っています。だから丈夫で、重みもあり。工房には木材を加工するための装置がありました。

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このお店で素敵なバスケットをいくつか入手してきました。こちら、次回開催する8/31からの私の個展に持って行きます。

アーミッシュ料理のイベント

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アーミッシュの友人デブラと本屋さんで買い物をしているとき、お店の人から有益な情報をGET。「明日、アーミッシュ料理の試食イベントがあって、アーミッシュの料理を好きなだけ試食できるわよ」とのことです。

「アーミッシュの食」について理解を深めたい私にとってはとっても素敵なイベント。もちろん翌日、参加してきました。

会場にはたくさんのアーミッシュと一般の地元アメリカ人も。アーミッシュ料理のレシピ著者が自ら料理をふるまってくれます。

私が気に入ったのは、このコーンブレッドサラダ。
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コーンのパンが混ざったサラダ。日本では食べたこのない食感に感激!迷わずレシピ本も購入。驚いたことに、このレシピ本の著者は24歳の若い女性だったこと。料理本にサインも頂いてしまいました。

他にも美味しい料理がたくさん。

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全体的に砂糖多めの料理が多いので、レシピを少し改良して日本で作ってみようと思います。

アーミッシュのソープメーカを探して

今回、どうしても見つけたかったのが、ハンドメイドでナチュラルソープを作っているアーミッシュです。
前回のアーミッシュワンピースイベントで人気だったのが、アーミッシュの手作り石鹸。オハイオ州でも素敵な石鹸職人さんに出会えたらいいな、と思っていました。

何人かに聞き込みをしたところ、デビッドというアーミッシュのソープメーカーを紹介してもらえました。田舎道を車で走り向かいます。

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デビッドはオールドオーダーのアーミッシュ。子どもが6人いて、自宅の隣の工房で石鹸作りをしています。事前に連絡してあったので、心よく迎えて頂き、インタビューにも応じて頂きました。

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デビッドのこだわりは、自然由来の成分のみをつかうこと。製造工程でケミカル成分を一切、排除しています。石鹸屋さんだと思っていたら、石鹸のみならずリップクリームやシャンプー、洗濯洗剤、ボディローションなど幅広い商品を展開していました。

6人の子どもがいて作業を手伝ってくれていますが、ほとんどお一人で切り盛りしているとのこと。商品はUPSで全米とカナダに出荷しているとのことで、どうやら人気のお店のようです。

お客さんのほとんどはアーミッシュのようですが、2割程度、一般の人々も。ナチュラル思考が高まる昨今、デビッドのプロダクトにも注目が集まっているのでしょう。

固形石鹸を固める「キュアリングルーム」にも案内してもらえました。
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工房にはデビッドの子ども達や奥さんも集まってきて、私たち日本人に興味津々。お土産にけん玉をあげたらとっても喜んでくれました。

さらに、子どもがどこからともなく聖書の関連本を持ってきて、「ここを読んで欲しい」とお願いされました。見てみると、本の中に日本語のパートがあります。「日本語はわからないけど、どんな音なのか聞いてみたい」とのこと。デビッドにお願いされたので、総勢10人ほどのアーミッシュの前で朗読。

内容は祈りの言葉のような・・・。緊張して、よく覚えていません。でも、とっても感心してくれて、嬉しかったです。

アーミッシュは敬虔なキリスト教徒。普段の生活のベースは信仰に基づいているし、石鹸のビジネスにしても神の意思に沿うよう、できることをやる、という堅実な方針を伺えました。

お礼を言って立ち去るときも、「God bless you!」と声を掛けられました。

自分のためではなく、人のために生きる

今回の訪問で、アーミッシュは自分のために生きるのではなく、人のために生きる傾向が強いと感じました。
彼らは「第一に神、第二に人、最後に自分」という聖書の教えを普段から大事にしています。自分の成長、自分の満足のためというより、誰かのためになることを喜んでやる。

例えば、アーミッシュコミュニティではチャリティーイベントが頻繁に開催されます。病気の子の医療費を募るためのバザーだとか、オークションだとか。友人のデブラは、1週間後に開かれる学校のチャリティーイベントでパイを焼く予定があり、すでに準備をはじめていました。

普段の生活でも、「助けが必要な人のところに手伝いに行く」という理由で出かけることが多くあります。

洋服にしても質素で簡素な服を来て、メイクもせず、アクセサリーもつけないですが、彼らはそれに対してストレスを感じていないようです。自分を美しく見せるために容姿にお金と時間をかけても、誰のためにもなりませんよね。自分のためにはなるけど。そういうことに、アーミッシュは一生懸命にならないみたい。

私自身も含め、今の日本の若者が普段していることって、”ばっちりメイクしておしゃれをして美味しいスイーツを食べて自撮りしてSNSにアップして「いいね!」の数を数える・・・。”みたいなところが少なからずあると思います。(極端な例かもしれませんが)

こういう価値観も全否定できませんが、アーミッシュの価値観の方がずっと建設的な気がしてしまいました。もともとの宗教的バックグラウンドと文化が違いますので、単純に比較はできないのですが。

それでも、「自分のエゴよりも、神の意思が大事。そして、世のため人のためにできることをやる」という生き方を実践している彼らの姿を見ていると、自分自身の普段の生き方を見直さざるえません。自己満足するために時間とお金、この身と魂を使っていくのか、それとも、世の中・人のために自分の身を使っていくのか。どっちの生き方をしていくべきなのか? と。

アーミッシュコミュニティに訪問するたびに同じような疑問を自分に投げかけています。

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今回はたった数日間の滞在でしたが、一緒に同行してくれた旦那さんの運転のおかげで自分のフィールドワークに集中することができました。(自分で運転するときは、慣れないアメリカ道路で緊張しっぱなしなのです)写真もたくさん撮影してくれて、感謝してもしきれません。

そして、現地で私たち夫婦を迎えてくれたアーミッシュの友人、フォトグラファーのRandy一家にたくさんお世話になりました。

今回はじめて出会ったシュワルツェントルーバーの人たち、石鹸屋さんやキャンドル屋さんのアーミッシュの人たちにもお礼をしたいです。(彼らはインターネットをしないので、お手紙でお礼をします)

この旅で結ばれたすべての縁に感謝して。

2018年7月14日。

アーミッシュワンピース通販バナー

2 件のコメント

  • ksaitoh より:

    こんにちは!6月に、お手紙させていただいた者です(Instagramでも、蛍のところなどでちょこちょこ、コメントさせていただいてました…)。滞在記、楽しく拝見しました!どれも本当に、景色がきれいで、空の色が、草の色が、あざやかだなあと、そして生地屋さんのところで書かれてましたが、アーミッシュの服や、家や、暮らしがそういうものと調和しているんだなあ…などと思いました。自分自身も、「あれこれ欲しい!」という気持ちに限りがない。もう少し、周りを見渡して生活したいと思いました。
    旦那さんとご一緒で、まはさんのお仕事も充実してますね!これからも楽しみにしています。

    • amish より:

      ご覧頂きありがとうございます!
      私もアーミッシュコミュニティに行くたびに日本の物の多さを改めて感じます。
      広告がたくさんあって、消費欲求をくすぐられる環境だなぁと。
      アーミッシュコミュニティには広告もお店も少ないので、欲求もくすぐられませんでした。
      感想頂き、とても励みになります。今後も頑張りますね^^

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