世界一貧しい大統領とアーミッシュの価値観が似ている

フジテレビ「Mr.サンデー拡大スペシャル」で放送された「世界で熱狂なぜ?世界一貧しい大統領 日本人への感動の言葉」が話題となってます。
アーミッシュの生活を真似しているわけではないけど、私の家にはテレビがありません。
なので、この番組のことはネットでチェックしただけなんですが、世界一貧しいと言われているウルグアイのムヒカ元大統領の価値観とアーミッシュの価値観が重なる部分が多くて驚きました。

ムヒカ元大統領の言葉とアーミッシュの価値観がどのように重なるのか、書いておこうと思います。

車は便利で魅力的だけど、持たない。

【ムヒカ元大統領】ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか?
呼吸をするための十分な酸素は残るでしょうか?。
同じことを別の質問で言うならば、西洋の富裕社会が持つ“傲慢な”消費を世界の70億から80億人もの人々がおこなうための資源が、この地球に存在するのでしょうか?

アーミッシュも車を持つことを良しとしていません。

それは、車が人生を豊かにすると考えていないから。
むしろ、車が人生に悪影響を及ぼすのではないか、ということを懸念して「持たないこと」を選んでいます。

悪影響というのはこういうロジック↓

車を持つと行動範囲が広がります。お出かけするのが楽チンなので、自分の住んでいる地域や家にいない時間が増える。
そうすると、家族との時間や、地元の人達と過ごす時間が少なくなる。

アーミッシュは、家庭や同じ地区に住む人達との絆をとても大事にします。特に家族は最重要。
車を持つことによって、家族や地域の絆が弱くなってしまうのだとしたら、持たない方が良い。
こう考えています。

車は便利で魅力的だけど、車を自分達の生活に導入した場合の影響を考えて、「持たない」という選択をしています。

車がもたらす資源枯渇を指摘する大統領。
車がもたらすライフスタイルへの悪影響を自覚しているアーミッシュ。

なんだか関連性を感じました。

欲望のままに行動しないで、自分をコントロールするアーミッシュ

【ムヒカ元大統領】我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです。

現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。

人類が消費社会によってコントロールされている、というのは一理あると私も思っています。
だからこそ、アーミッシュの生活にとても興味が惹かれている。

アーミッシュは消費社会の一員ではあるけれど、できるだけ消費を抑えて質素に、シンプルに生きることに努めています。
なので、消費社会にコントロールされるというよりも、自分達の消費を自覚的にコントロールしているように見える。

洋服は自分達で決まった形のものを作るから、高いブランド品や流行を追い求めることはしない。
腕時計やジュエリーも身に付けないので、高価な宝石店で買い物をすることもない。
食べ物は自分達でできるだけ生産して、足りないものだけを購入して補う。

なるべく大量生産大量消費の社会の波に飲み込まれないように、自分達のルールを設けています。

欲望のままに消費をしないようにルールを設けることで、自分達の行動をコントロールしているんです。

ムヒカ元大統領がアーミッシュのことをどう思っているかは分からないのすが、
少なくとも彼らの社会のことを「消費社会にコントロールされている」とは認めないはず。

地球に優しいアーミッシュの生活

【ムヒカ元大統領】常軌を逸した消費は世界を破壊しており、高価な商品やライフスタイルが人々の人生を破滅させているのです。

アーミッシュは「世界を破壊」しないように質素な生活をしているわけではないですが、
自分達のやり方を貫いた結果、いわゆる地球に優しい生活が実現しています。
素敵なカラクリだな、と思います。

完全に文明を拒否しているわけじゃない



【ムヒカ元大統領】石器時代に戻れとは言っていません。マーケットをまたコントロールしなければならないと言っているのです。

確かに、石器時代の生活をすることは無理。
アーミッシュですら、石器時代的な生活とは程遠いです。
水洗トイレを使うしシャワーも浴びる。
洗剤やバス用品はスーパーで売っている化学製品だし、洋服の素材も合成繊維を含んでいる。
食事も完全に自給自足ではなく、食料品店で購入することも多い。

完全に文明の恩恵を拒否することはできないから、妥協するところは妥協しているんです。
そんなアーミッシュの選択は、ムヒカ元大統領のいう「マーケットをコントロールしなければならない」というライフスタイルに近いのかも。

「不便な生活=不幸」ではない

【ムヒカ元大統領】昔の賢明な方々、エピクロス、セネカやアイマラ民族までこんなことを言っています。
『貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ』
この言葉は、私たちの議論にとって文化的なキーポイントだと思います。

なるほど、と思う言葉でした。
確かに、質素でシンプルで決して便利とはいえない生活をおくるアーミッシュの人達が不幸には見えなかった。
むしろポジティブな印象を受ける方が多かった。「足るを知る」という言葉がしっくりくる生活だった。
だから、私も大統領の指摘に賛成。

アーミッシュの生活様式がヒントになるかも



【ムヒカ元大統領】根本的な問題は私たちが実行した社会モデルなのです。そして、改めて見直さなければならないのは私たちの生活スタイルだということです。

ムヒカ元大統領が理想としている社会モデルとアーミッシュの社会が完全にイコールではないはずですが、近いものはありそう。
だとしたら、アーミッシュの生活や価値観は、私たちに何かしらのヒントになるかもしれません。

アーミッシュは生活を「発展」させようとしない

【ムヒカ元大統領】私の言っていることはとてもシンプルなものです。
発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。
発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。
愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。
これらをもたらすべきなのです。

発展は裕福な生活のためじゃなくて、本当の意味の幸福をもたらすためのものだと。
そしてその幸福とは、愛情ある家族や友達という人間関係と、必要最低限のもの。

まさにこの価値観こそ、アーミッシュの生活の根底にあるもの。

もちろん、アーミッシュにはキリスト教の信仰がバックグラウンドにあるので、同じロジックでは語れないことは重々承知。

だけど、大切にするべきなのは家族で、人の欲というのは限りない、ということを知っているからこそ、発展を制限しているアーミッシュ。
そういう意味では、私達よりもアーミッシュの方が大統領の理想には近いところにいるのかも……。

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