アーミッシュカントリー滞在日記~アーミッシュトレイルライド<その1>~

これまで思いつくままにアーミッシュに関する記事を投稿していたけど、
手法を変えて日記形式の記事も始めます。

アーミッシュと暮らした日々にどんなことを感じ、考えたのかを忘れないうちに書き留めておこうと思います。

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□登場人物
デブラ:私のアーミッシュの友達。20歳。
ネバ:デブラのお母さん。10人の子どもがいる。
イヴァ:デブラの0歳の子ども。女の子。
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今日の予定

アーミッシュカントリー7日目の朝。

今日はデブラとアーミッシュトレイルライドを見物しにいく予定。
「アーミッシュトレイルライド」というのは、アーミッシュが馬に乗って何やらショーをするイベントらしい。
デブラが一生懸命説明してくれたのだけど、英語ということも相まってよくイメージができなかった。

だって、日本には馬に乗るイベントって無いよね? どんなものなのか想像がつかない。

馬は友達であり仕事道具であり移動手段であるアーミッシュ。

どうやら馬が主役のイベントもあるみたい。

アーミッシュらしいイベントであることは確かで、イコール私にとって興味深いこと間違いない。

百聞は一見にしかず。とにかく、行ってみよう。

刺身が食べたい

泊まっているB&Bにはキッチンがあって、食器や調理器具、冷蔵庫、電子レンジが揃ってる。

(↑この写真はairbnbで借りた部屋だけど、ここらへんのB&Bはどこもこんな感じ。やけに可愛いインテリア。)

食材さえ買ってくれば大抵の料理ができるので本当に便利。

正直、日本人の舌の価値観で計るところの「おいしい」料理はこのへんにない。
あるのは、アメリカ人の「おいしい」。つまり、ステーキとかポテトフライとかハンバーガーとかクッキーとかチョコレートとか。

野菜を食べたい!と思っても、チョイスはサンドイッチとかラップサンドくらい。

もっと若かったら異国の食文化に順応して何も考えずに食事を楽しむことができたのかもしれないけど、
そこそこの大人になってしまったからか、自分の中での「おいしい」スタンダードからずれるものをあまり受け入れることができない。

「アーミッシュカントリーの食べ物は美味しい!」とアピールできればネタにもなるんだけど、それは嘘になっちゃいそう。

とにかく今の私に必要なのは、大根のツマが綺麗に添えられたお刺身と、さしちょこに円を描いて鎮座している醤油。それに緑色のわさびがチョコンと添えられていて、一部が醤油に溶け込んでいるという絵。
それも、立体的な絵。というか、絵じゃなくて生。生の刺身が食べたい。刺身が食べたい。。。

こうゆう、頭の中の妄想葛藤をアメリカに来て何度繰り返したことか。

刺身、天ぷら、すき焼き、鍋、お吸い物……

ぼんやり日本食を想像しながら、キッチンで作っているのはチャーハン。
パサパサのタイ米を冷凍していたから、卵とベーコンでチャーハンを作ってる。

料理の差し入れ

このチャーハンはデブラとネバに渡して、本日のデブラ宅、ネバ宅の食事の足しにしてもらうもの。

BBQに参加させてもらったり、夜ご飯をごちそうしてくれたり、彼らの生活をこうして垣間見せてくれているささやかなお礼として、ほとんど毎日料理の差し入れをしてる。

(↑おいなりさん、コーンとチキンソテーを作ったことも。あまり、ウケなかった……)

すごく喜んでくれているわけでも、私が作る料理を気に入ってくれてるわけでもないことは明らかなんだけど。
何か少しでも役に立つことは? という発想からこの答えしか浮かんでこなかった。

きっと、もっと良いアイディアがあるはずなんだけど。

チャーハンをジップロックに詰めてB&Bをチェックアウト。
今日から少し車を走らせたところにある別のB&Bに移ることになってるから。

いつも通りエンジンを付けて、まだまだ緊張するドライブのスタート。
背の高いとうもろこしの海を左右に見ながら、モーゼのように車を進めて切り開いていく。

既に午前中の洗濯を終えたデブラが慌ただしくも迎えてくれて、チャーハンを渡す。

Thanks!と軽くお礼をされて早々に出発準備。
デブラにしてもネバにしても子ども達にしても、あまりねっとりとしたコミュニケーションをとらないのが面白い。

お礼を言うときもお別れのときも、感情的にならないでサバサバっとしてる。まったく、媚びる感じが無くて気持ちが良いくらい。

ベビーカーをトランクに詰めて、チャイルドシートを設置して車に乗り込む。
いざ、ベルリンのアーミッシュトレイルライドへ。

車に乗り慣れているデブラ

そういえば、アーミッシュは車を持たないのにチャイルドシートはちゃっかり持っているんだな、と今さらながら思った。

車を持たないけど、乗る機会はそこそこあるという証。
実際、デブラは車の機能にやけに詳しい。

私もいじれないラジオを器用に扱って聞きたいチャンネルにチューニングする。

フロントガラスが曇って前が見えにくくなったとき、デブラがすかざすクーラーをつけて曇りをとったことがある。
免許も持ってない、車も持たないのにこのテクニックを知っていて即実行するとはすごいな、と思う。

「よくそんな技を知っているね」というと、「そうね、車に乗るとドライバーがよくやってるから。でも、なんでクーラーをつけると曇りがなくなるのか、その原理は分からないけど」と。

そうか。アーミッシュは学校で理科を習わない。
気温の調節で曇りをとる、というのは理科の理論で分かりそうなものだけど、そういうことは知らないのだと思う。

ま、私も正直、何で気温が変わると曇りがとれるのかよく分からないけどね。

秋に訪れるべき可愛い街

ベルリンは、オハイオ州のホルムス郡にあるアーミッシュの街。
ちょっとした観光地になっていて、メイン通りにはお土産物屋やレストランがひしめいている。

ナショナルジオグラフィックが「秋に訪れたい観光地」として選出した街らしく、ここのところ観光客が増えているらしい。
秋は紅葉が素晴らしいらしい。雪に覆われた季節に来たことはあるけど、秋にもまた訪れてみたい。

小さくて可愛いベルリンの街。メインの交差点を少し進んで、39stを右折したエリアはアーミッシュカルチャーが溢れている。

カントリーテイストの物語に登場するようなお店が並んでいて、通りを歩くアーミッシュも多い。
車ではなく歩いてゆっくり観光したくなるストリートだった。

道路沿いの風景にトキメキながらも、やっぱりアーミッシュの友達と子どもの命を預かる運転は緊張が途切れない。
余裕を演じようとしてはいるけど、私の緊張感をデブラは見透かしているだろう。

途中、デブラのおじさん、つまりネバの弟の家を通り過ぎた。ネバはアーミッシュには珍しく二人兄弟。その弟も、不慮の悲しい事故で去年、亡くなったという。

遺された3人の子ども達のことを思うと、悲しく、いたたまれない。

カメラを封印

アーミッシュトレイルライドは公道で行われるらしいが、まったくお祭りらしい雰囲気はなく、デブラも不安がり始める。

「今日は土曜日よね? おかしいな。日にちも時間もあってるはずなんだけど……」と。

車を走らせてみることにしてしばらくすると、山道にある橋から身を乗り出しているアーミッシュの群衆を見つけた。

思わず、カメラを撮りまくりたい衝動に駆られる。
だって、小さいアーミッシュの子どもが何人も橋の手すりからすぐ下の山道を眺めていて、その様子がなんとも絵になるから。

アーミッシュの子どもが一人でいるだけでも可愛いのに、たくさんいるなんて。

でも、至近距離でカメラを向ける勇気はなく、また、それが許される「空気」でもなかったのでバックの中のカメラを封印した。

私もアーミッシュに混ざって身を乗り出してみると、橋の下に騎馬の大群が!

20歳以下くらいと思われる若いアーミッシュの子達が馬に乗って次々と走り去っていく。
軽快に馬を走らせ、みんな楽しそうにおしゃべりしながら去っていく。

よく見ると、アーミッシュではない子どもも混ざっている。

このイベントはアーミッシュだけでなく地元の子ども達も参加していうようで、彼らはアーミッシュと一緒に馬に乗り一緒に会話をし一緒に楽しんでいる様子。

アーミッシュとノンアーミッシュの垣根は、やはり思っていたほど高くない。

気が付くと聴衆のアーミッシュの中の子どもが私のことをジーっと見ている。
薄っぺらい顔をしたアジア人が珍しいのだろう、思いっきり笑顔を返してやると照れくさがってお母さんのスカートに顔をうずめる。
お母さんは「もう、照れちゃってねぇ」というように目配せを私に送る。

小さい子どもと若いお母さんのこの反応は、どこに行っても変わらないなぁ。
アーミッシュの子どもとお母さんもまったく同じ反応じゃん。
アーミッシュといえど、同じ。

悲しみを乗り越えて

長い長い騎馬隊が途切れ途切れになってきたので、車を走らせてデブラのおじさん宅に戻る。
今度は車道を走る騎馬の群れを観察する算段だ。

駐車場に車を止め、前の道路を横切る騎馬隊をデブラと眺めた。デブラが「写真撮っても大丈夫だよ」とのことで、封印したカメラを蘇らせ、車の中から撮影する。

 
中にはデブラの親せきも参加しているらしく、デブラに気が付いて手を振ってくれる子が何人かいた。

「今、手を振ってくれたのがおじさんの子どもだよ。去年、亡くなったおじさんの。」とデブラ。

笑顔で手を振っている少年は手足が長くスラリとしていて、馬に乗る姿がやけにキマッている。

友達らしき男の子達と話し、笑いながら走り去っていった。

お父さんを亡くして悲しみに暮れた時期はもう過ぎたのかもしれない。馬に乗っているからか、とても強い子に見えた。

どの子もまだ10代だろうに、馬を上手に乗りこなして横切っていく。
生活に馬が欠かせないアーミッシュ達にとっては、馬に乗ることなんて朝飯前なのだろう。

と思いきや、「ヒヒヒーン」という馬の鳴き声ととともに落馬している子もいた。すぐに立て直していたけど。

つづく。

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