不便な生活をあえて選択するアーミッシュの勇気と賢明さ

アーミッシュは発展した現代の世界・社会を知っている

“アーミッシュは文明から隔絶された前時代の民族”というイメージを持つ人もいるかもしれないのですが、彼らは現代文明のことをよく知っています。

アメリカという先進国の住人ですし、アーミッシュだけで固まって住んでいるわけではないから。
新聞や雑誌、本を読みますし、地域の住民との交流もある。仕事ではノンアーミッシュに雇用される人もいるし、ノンアーミッシュを顧客にしている人もいる。
また、洗礼を受けて正式な教会メンバーになる前は、ノンアーミッシュのように生活することが許されているから。eP9163176▲近所の大型スーパーに買い物に行くこともあるので、「文明の利器」を手にとることもできる。

そう、彼らは文明を知らないのではありません。彼らは横目に私たちの生活を見ています。見ていながら敢えて、文明がもたらした便利で快適な生活を「選択していない」のです。

明らかに車や電話、パソコン、エアコンは便利なのに、なぜ敢えてこれらを「持たない」という選択ができるのだろう?
私が彼らの文化に強く惹かれる理由もここにあります。

アーミッシュは”禁欲教徒”?

アーミッシュのことを「極端に禁欲的な宗教集団」と表現しているメディアもありますが、私はそれを見ていて首をかしげます。

彼らは欲求を我慢しているわけではなく、自らの意思で進んで彼らの生活様式を「選択」しているから。

「スマホを持っちゃいけない」ではなく、「スマホは持たない」。
「車を持つことが許されていない」ではなく、「車は持たない」。
「パソコンを使っちゃいけない」ではなく、「パソコンは使わない」。

というニュアンス。

中には、どうしても車を運転したいとか、パソコン関連の仕事がしたいとか、そういう意思を持つ人もいます。そういう人はアーミッシュとしての洗礼を受けないまで。(アーミッシュとして洗礼を受けない若者の率は、全体で約10%)

ひとたび洗礼を受けたら、あっさりと車の免許を捨て、スマホを解約し、カメラを友達にあげて、ジーンズを脱ぎ捨てることができる。

欲望を禁じているというより、自分の生き方を判断して選択しているだけなのでは?
どんどん発展する文明や移り変わってゆく流行に対してどう対峙していくか、「自分のスタンスを決める」という判断。

その判断は「禁欲」とはちょっと違う気がしています。

私たちは、テクノロジーに生き方を決められている?

ポケモンGOの拡張現実の技術を誰もが利用できるようになるとは、数年前には想像もできなかったですよね。
私が中学生の頃は「写るんです」というインスタントカメラで遊んでましたが、今ではカメラを持っていなくてもスマホで写真がとれる。さらに、アプリで加工して遊べる。こんなふうになるとも思ってなかったです。

テクノロジーはどんどん発展していくので、数年先の毎日の過ごし方は、そのときのテクノロジーのトレンドによって変わってきます。

そういう意味では、私たちの未来の毎日は、そのときのテクノロジー次第とも言えるかも。
私たちはアーミッシュとは違って、テクノロジーを敬遠したりしないので、その恩恵をどんどん生活にとりいれますもの。

こんな言葉があります。

Amish people prefer to control technology rather than be controlled by it.
(アーミッシュはテクノロジーにコントロールされるよりも、テクノロジーをコントロールするようにしている)

これは、オハイオ州でアーミッシュの文化を紹介しているガイドの言葉。これを聞いたとき、「確かに」と思ってしまいました。

彼らはなぜ現代文明・テクノロジーを警戒する?

アーミッシュが大事にしているのは、キリスト教の信仰を基にした家族と地域コミュニティの結束・絆です。
(「相互扶助」の仕組みが発達しているので、社会保障にも加入しません。)
人間同士のリアルなつながりを重視するので、テクノロジーに頼りすぎないようにしています。

もちろん、SNSやメールなどのオンラインコミュニケーションもしません。

家族のもとにいる時間を増やしたいから、地元で過ごす時間を多くしたいから、移動手段をバギーに制限しています。
車を持ったら、「家族との時間を大切にしたい」と思っていても、その手軽さから一人でどこかに行ってしまうかも。
テクノロジーを利用する自由を手に入れたら、際限が効かなくなるという人間の性質を見越した上での判断なのです。

こういう彼らの「選択」をどう捉えるかは人によって違うかもしれませんが、私は勇気があって、賢明だと感じています。

不便な生活をあえて選択する勇気。その選択を決断するときの賢明さ。
アーミッシュの人たちにあって、私たちにないものだと思います。

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