【リアル・アーミッシュ #3】25歳3児の母・アーミッシュお母さんのお手伝い

私が学生の頃に書いたアーミッシュの家庭の滞在レポートを公開しています。

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【リアル・アーミッシュ #1】学生の頃に書いたレポート文を公開します
【リアル・アーミッシュ #2】現実のアーミッシュの世界にいよいよ潜入

アーミッシュの若い奥さんの家で家政婦になる

月曜日は結婚を6月に控える24歳のレジーナ・シュラバッハと、彼女のいとこの家へ家事のお手伝いに行った。
アーミッシュのコミュニティは相互扶助の文化が発達しているというが、具体的にはこういうことなのだ。
人出が足りなくて困っている家に、余裕のある人が手伝いに行ったり、急な用事で両親が出掛けてしまうとき、子どもを近所の人が預かるといったような具合だ。
レジーナのいとこは3人の子どもを育てる25歳くらいの若い奥さんだ。学校に通う男の子に、学齢期前の女の子、そして生まれたばかりで片時も目を離せない女の子の3人。若い、といってもアーミッシュの感覚では10歳を過ぎれば大人扱いで、20歳前後で結婚することは珍しくないので、決して特例ではない。

アーミッシュバギーを初体験

レジーナは結婚前なので子育てや家事について経験を積むことが良い、というわけで週に2回洗濯と掃除をしに朝早くから出掛けている。
普段は自転車で行くらしいが、今回はアーミッシュの生活を知りたいという私が一緒だからであろう、車に代わるアーミッシュの交通手段、バギーを使ってくれた。
アーミッシュバギー
バギーのタイヤはゴム製ではない。これも簡素さを目指すアーミッシュの方針だ。鉄製のため、「ガタガタと揺れてお尻が痛くなるでしょう?」と菅原さんにも聞かれたが、私にはその揺れが心地よい。
ゆっくり流れる景色も、隣で馬の手綱を持つレジーナの存在も、ピーナッツ(バギーを引く馬の名前)の後ろ姿も、なんとも心地よかった。

動物に囲まれて暮らすアーミッシュ

馬とアーミッシュは切ってもきれない間柄だ。
バギーを引かせるために各家庭にはたいてい馬がいる。
農場で仕事をするときも、トラクターを使わないので馬が活躍する。
子どもたちは幼いときから馬に親しみ、馬だけでなく他の家畜や飼い猫、飼い犬とともに育つ。
さらにバルコニーに巣箱をつける家庭が多い。たくさんの動物と関わりながら彼らは生活をする。
「子どもは神からの贈り物」と見なし産児制限をしないため、兄弟も多い、故に親戚も多い。
たくさんの動物とたくさんの兄弟、友達、親戚の中で育つから、子どもたちはめったにわがままを言わない。
大勢の中で生きるために、共同体を維持するために、自分がどうあるべきか、ということを子どもながらに察しているように私には見えた。

毎日の家事は、生活のメインイベント

レジーナのいとこの家もきれいだった。今回の訪問で8件ほどのアーミッシュの家にお邪魔したが、どこも掃除が行き届いていて、整頓されていた。
アーミッシュは生活を大切にする。
家事は日常生活の付属物ではなく、メインなのだ。
丁寧に食器を洗い、毎日掃除をし、住まいを整えることが重要視される。
私も何度も家の掃除を手伝った。
レジーナのいとこの所ではまず床を掃いて、それから半地下になっている階で子どもとかくれんぼをしながら洗濯をした。
お昼までには終わり、またバギーでシュラバッハ宅に帰り、レジーナと朝食を取った。
こんな風に助け合いながら暮らすので、アーミッシュの女性達は結婚していない少女でさえも、家事やおむつ替えなどの子どもの面倒をきちんとこなす事ができる。
結婚して初めて家事や子育てを経験し戸惑う日本人とは違い、彼女達は結婚生活、家事、子育てがどういうものなのかを熟知した上で家庭を持つことになる。

つづく。

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