映画「刑事ジョン・ブック 目撃者」に出てくるアーミッシュは本物?
アーミッシュが出てくるおすすめ映画・「刑事ジョン・ブック 目撃者」
先日、BSで映画「刑事ジョン・ブック 目撃者」が放送されていたようです。
私のブログのアクセス数がこの日にグンと上がっていて、驚いて調べたところ、原因はこの放送だったよう。
私はもう10年以上テレビを持たない暮らしをしているので詳しくわからないのですが、BSって多くの人が見てるチャンネルなのでしょうか?
さておき、「刑事ジョン・ブック 目撃者」を観てはじめてアーミッシュのことを知った方も多いと思います。
1985年公開の映画ということで、もう30年以上前の映画にも関わらず、未だに覚えている方や、好きな映画の1本として挙げる方がいるほど根強い人気。
公開当時も高い評価を得たようで、アカデミー賞の脚本賞と編集賞を受賞しています。監督はオーストラリア出身のピーター・ウィアー。この監督は「いまを生きる」や「トゥルーマン・ショー」でも有名です。
現在72歳ということなので、40歳前半で「刑事ジョン・ブック 目撃者」を監督しているのですね。
ちなみに私も「刑事ジョン・ブック 目撃者」、大好きです。
アーミッシュが描かれている、という要素抜きにしても好きです。
殺人事件から始まる”刑事もの”、”ミステリーもの”かと思いきや、子どもや大人の繊細な感情が見事に映像で表現されている綺麗な作品です。
言葉や説明が少なく、登場人物の「目」や「視線」、「風景」、「カメラワーク」でその場の展開が表現されていきます。
映画ポスターのクリエイティブはだいぶ男性っぽいデザインなのですが、もしかしたら女性のファンの方が多いのではないか?と思うほど感覚的に訴えるものがある映画です。
BSで見逃した方はぜひ、DVDやhuluなどのWEBサービスでチェックしてみてください。
舞台は実在のアーミッシュコミュニティ
映画の中ではたくさんのアーミッシュが出てきます。
この映画を観終わってアーミッシュに興味を持つ方は多いと思いますが、まず頭に浮かぶのは、「こんな人たち、本当にいるの?」という疑問でしょう。
はい。2017年現在のこの世界に、きちんと存在しています。30万人もの人口に達しており、しかも、増え続けています。
映画の舞台はペンシルヴァニア州ランカスター。
ここは現在、一番有名なアーミッシュコミュニティでもあり、多くのアーミッシュが暮らしてる土地です。
私も訪問したことがあります。
>>アーミッシュに会いに行こう! 〜ランカスターへのアクセスと交通
忠実にアーミッシュの世界を表現
多くの映画やドラマ、ドキュメンタリー作品にときたまアーミッシュが登場します。が、そのほとんどが、実際のアーミッシュと乖離しています。製作陣の都合の良い「アーミッシュ像」が描かれているのです。
製作陣に嘘をつくつもりはないのかと思いますが、固定概念や自分たちの解釈で作り上げたアーミッシュ像を映像化しているので、当然、リアルとはかけ離れていきます。
でも、この「刑事ジョン・ブック 目撃者」については、かなり忠実にアーミッシュの世界が表現されています。
たとえば、アーミッシュのバーンレイジング(納屋作り)のシーン。
近所のアーミッシュが集まり、1日のうちに納屋を建築してしまうというアーミッシュ独特の文化の一つです。
朝から近所の老若男女が集まり、男性は納屋建築、女性は食事など身の回りの世話をします。
女性たちの手があくと、アーミッシュキルトをみんなで縫います。
そのシーンもありましたね。
出演者は非アーミッシュ
アーミッシュの世界観が忠実に再現されているとはいえ、出演している人たちはアーミッシュではありません。
アーミッシュは映像に映って目立つことを好ましく考えていませんので、当然ですね。
映画に出てくる洋服や女性のキャップも実際のアーミッシュの服と見分けがつかないので、これも事実に即して制作されているようです。
唯一の間違いは「English」の致命的な誤訳
実際のアーミッシュの世界に忠実に、かつ偏見や差別なく彼らを描くことに成功した「刑事ジョン・ブック 目撃者」ですが、残念なことに致命的な間違いがあります。
それは、字幕の誤訳。
アーミッシュ達は自分たち以外の人たちのことをまとめて「English(イングリッシュ)」と呼びます。
もともとは「英語を話す人々」という意味で「English」という呼び方をしていたようですが、英語以外の話者でもアーミッシュの独自言語以外を話す人をまとめてこう呼んでいます。
ところが映画字幕では「English」のことが「イギリス人」というように訳されているのです。
アーミッシュのおじいちゃんがハリソンフォード演じる刑事ジョン・ブックに、「(アーミッシュ以外の)外の世界の人たちには気をつけろよ」という言葉を最後のシーンでかけるのですが、このセリフは物語の中でとても印象的なシーンなのです。
つまり、最初は「外の世界の人」として扱われていたジョン・ブックが、アーミッシュコミュニティでの事件を通して、もはや「外の世界の人」という存在ではなくなったということを意味するセリフです。
このアーミッシュおじいちゃんが、ジョン・ブックのことを認め、受け入れた証拠であるセリフ。
このセリフが「イギリス人」と訳されているので、意味がぼんやりとしてしまっているのです。
もちろん、訳者はアーミッシュ文化の専門ではないのでそこを攻めることはできないのですが、物語の中で重要な言葉であるだけにもどかしい想いを隠しきれない私です。
でもこれは唯一の難点。
映画全体としては素晴らしく、30年以上たった今でも色褪せない魅力を放つ名画です。
若かりしハリソンフォードも良い味出してます○
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