電線を引かないアーミッシュ向けの、冷凍庫レンタルサービス
電線を引かないけど、電気は使う
アーミッシュは自宅に電線を引きません。
ただ、電気を使わないわけではないのです。自家発電はOKなので、天然ガスやソーラー、ポータブルエンジン、圧縮空気を使って数少ない家電製品を動かします。
限られた電力のため、「あ、電気なくなっちゃった」という友達の発言をよく聞きました。
ソーラー発電で動かしていた電気アイロンが使えなくなって、コンロの火で温める鉄のアイロンに持ち替えたり。
私にとっては衝撃のシーンでしたが、こうゆう不便な生活もアーミッシュの友人にとっては慣れたもののようでした。
アーミッシュの家には実は冷蔵庫もあります。ただ、電線からの電力で動かすタイプではなく、ガスで動く特別仕様。
↑アーミッシュの冷蔵庫。お掃除中で、中身の食料はぜんぶ取り出しています。
家庭用の小さい冷蔵庫だと、足りないから……冷凍庫レンタルサービス
ところで、アーミッシュの女性は平均7人の子どもを産むため、大家族なケースが多いです。
私の友人も、10人兄弟の長女。家族は12人でとてもにぎやかです。
当然、食料も大量に必要。
上記の写真のような家庭用冷蔵庫だと、食料の貯蔵には十分でありません。
そこでできたのが、アーミッシュ向けの冷凍庫レンタルサービス。
ノンアーミッシュが運営している冷凍庫版レンタルルームのようなイメージです。
私が訪問したのは、このタイプの冷凍庫ルーム。
一見、倉庫のようなシンプルな建物。
ノンアーミッシュが運営しているので、電線も引かれています。つまり、電力が豊富。
中はこうなっています。
大量の業務用冷凍庫!!
アメリカの家庭の、地下室とかにガレージによくあるタイプですね。
この冷凍庫一つ一つを、アーミッシュ向けにレンタルしているそうです。
友人もこの中の冷凍庫をお母さんとシェアで借りているそうです。
例えば、家畜の牛をさばいたときなどは、大量の牛肉を保存する必要が出てきます。ミンチを作って、この冷凍庫に保管しておく、というように使っているとのこと。
限られたテクノロジーしか利用しないアーミッシュ向けにビジネスを展開しているアメリカ人は珍しくないです。
代表的なのが、アーミッシュ用のタクシーサービス。
だけど、冷凍庫のレンタルサービスもあるとは、なかなかの衝撃でした。
少しずつ便利になっていくアーミッシュの生活
この冷凍庫ハウスですが、私が訪れた10年前には建物自体がありませんでした。
アーミッシュお母さんに聞いてみると、最近建てられたとのこと。
それまでは、バギーで30分くらい(車だと5分)のところにある小さな地元スーパーが運営している冷凍庫ハウスをレンタルしていたそうです。
そこの冷凍庫は、部屋全体が冷凍庫になっていて、入ると凍えるような寒さだった、と懐かしそうに話してくれました。
現在借りている冷凍庫ハウスも運営元は同じ地元スーパーだそう。
自宅の近くに冷凍庫ハウスができて、彼らの生活も少し便利になりました。そのうち、冷凍庫を納屋に置くことが許される日がくるのかもしれません。
アーミッシュのコミュニティはこうやって、ゆっくりゆっくり近代化を進めていくのだと思います。
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