アーミッシュが知ってた唯一の日本人は誰?

アーミッシュお父さんが知ってる日本人


アーミッシュはテレビを見ないしインターネットもしない。

となると、海外の情報はほとんど入ってこないはずです。

新聞をとっている人はいるけど、それもアメリカの田舎の地元新聞。
紙面に日本の情報が掲載されることは稀です。

アーミッシュに世界地図を見せて、「日本はどこでしょう?」と聞いても、即答できる人がいなかったのも無理はないです。
アーミッシュの学校ではアメリカ以外の地理の勉強はしないそうですから。
(アーミッシュの学校についてはアーミッシュが「アーミッシュの学校」をつくった理由の記事を参考にしてください)

日本という国があることは知っているけど、どこにあるのかは知らない。
という人が過半数のようでした。

そんなアーミッシュの口から、一度だけ日本人の名前が飛び出したことがあります。

私が滞在していたアーミッシュ家庭のお父さんが「俺が日本人で知っているのはこの人くらいだなー」と話してくれた時です。
誰かというと、ジョンレノンの妻・オノヨーコです。

面白いですね。

イチローでも宮崎駿でも黒沢明でもなく、オノヨーコ。

日本の情報をほとんど知らないアーミッシュがオノヨーコのことを知っているのも驚きですが、さらに驚きだったのは、
お父さんがビートルズのメンバー全員の名前を言えたことです。

なぜ驚きか。

それは、アーミッシュはいわゆる音楽鑑賞をしないからです。

アーミッシュは娯楽として音楽を聞かない


アーミッシュはいわゆるエンタメ文化を楽しむことをあまりしません。

ドラマや映画を観たり、流行りの音楽を聴いたり、ミュージカルや美術館に行ったり、カラオケで歌ったり、ゲームをしたり、
そういう「楽しむ」ことそれ自体を目的とした活動を積極的にしません。
(バレーボールや卓球などのスポーツを楽しむことはありますが)

だから、アメリカで流行っている音楽を口ずさんでも無反応。
テイラースウィフトって知ってる? と聞いてももちろん「知らなーい」とそっけなかったです。

そんなアーミッシュのお父さんが、ビートルズのメンバーの名前をフルネームでスラスラと並べていくからびっくりしました。

何で知っているのか理由を聞くと、「本で読んだからだよ」と。

さらに、「本で読んだだけだから、どんな歌を歌ってるかは知らないけどね」と。

ビートルズの名前をフルネームで言えるのに、「イマジン」や「ヘルプ!」のメロディは知らないということです。
驚きでした。。。

私がいちいちビックリするのが面白いらしく、アーミッシュお父さんはさらに驚くことを教えてくれました。

「ビートルズの歌は歌えないけど、ビーチボーイズの歌は知ってるよ。『ココモ』って曲」と言いながら、なんと歌いだしました!

それもノリノリで、かなり良い声で!

この曲です↓

アーミッシュお父さんは40代ですが、ビーチボーイズ世代なのでしょうか。
私は知らない曲だったので、一緒に歌うことができずに残念。

それにしてもなぜ、ビートルズの曲は知らないのにビーチボーイズの歌は見事に歌えるのでしょう。

教会のメンバーになる前に外の世界の音楽を聴く


アーミッシュは大人になって自分の意思で洗礼を受けることを以前の記事で書きましたが、
洗礼を受けるまでは正式な教会メンバーではありません。

自分の意思で洗礼を受けて、「アーミッシュ」になる

したがって、洗礼前は教会のルールに従わなくても咎められません。

多くの若者は洗礼を受ける前までに、外の世界の生活をかじります。

アメリカンポップをラジオで聴いてみたり、車の免許を取って運転してみたり、普通のアメリカ人のような服を着てみたり、カメラを買って撮影してみたり……。

このアーミッシュお父さんも若いときに外の世界の文化をたしなんだそうで、
ビーチボーイズの『ココモ』もその時に覚えたんだとか。

オノヨーコ、ビートルズ、ビーチボーイズ。

アーミッシュお父さんの口から飛び出してきた思いがけない有名人達の名前に、動揺を隠せない私でした。

私は「アーミッシュだからこんなこと知らないだろう」と頭の中で決めつけているふしがあったような気がします。
アーミッシュお父さんはそんな私の思い込みを見据えていて、ビーチボーイズを歌うことで固定概念をはずしてくれました。

意図的かはもちろん分かりませんが、この時から私の中の意識も変わり始めました。

アーミッシュは私達と全く違うライフスタイルをおくっているけど、私達との共通点も多いのではないか? ということを考え始めたのです。

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