アーミッシュの女性が頭につけている物は何?

髪の毛を隠すためのボンネット

アーミッシュの女性は、帽子のような布のような、私達からみたら少し奇妙な物を頭につけています。

こんなような、黒いタイプの物だったり。

同じ形でも白い物だったり。

こんなゴツイのもある。

薄い素材でできた白いのもある。

これらは、「ボンネット(bonnet)」と呼ばれているヘアカバーです。

アーミッシュの女性は人前に出るときは必ずボンネットを頭につけるようにしています。

目的は、髪の毛を隠すため。

アーミッシュの教えでは、人に髪の毛をむやみに見せることを良しとしないのでボンネットで隠しているのです。

ボンネットではなく布を使うことも

家にいるときはボンネットをつけないときもあります。

そういうときは、小さい布をピンで留めて、髪の毛を隠します。

「人前で髪の毛を見せないこと」というルールは小さいときから習慣として教えられ徹底されています。

ですので、アーミッシュの女性はほぼ100%、ボンネットか布で髪の毛を隠しています。

髪の毛があらわになるのはのは、寝るときか起き抜けのときくらいというわけです。

地域によって違う、ボンネットの形

ボンネットの形は、実はエリアによって違います。

例えばこれはオハイオ州ホルムス群のボンネット。

こちらは、ペンシルヴァニア州ランカスター郡のボンネット。

後ろから見ると、ハートの形に見えるところが特徴。

他にもいろいろ。

ボンネットの中はどうなってる?

ボンネットの中は、当然ですが髪の毛が収まっています。

アーミッシュの女性は一生髪の毛を切りません。

なので、髪の毛がみんな長い! 長い髪をアップで結んで、まとめて、おだんごにしています。

そのおだんごを中心に、ボンネットや布で髪の毛を隠します。

アーミッシュは髪の毛を一生切らない、というのは有名な話なのですが、実は例外もあるそう。

私の友達アーミッシュによると、髪の毛が長すぎてまとまらず、ボンネットに入りきらなくなったら切ることもあると。

確かに、人によっては髪の毛が多かったりボリュームがあったりしますよね。
だから、「髪の毛を切ってはならない」という絶対ルールはナンセンス。

基本は切らないけど、ボンネットに入らない場合は切ってもよいよ、という抜け道がちゃんと残されているわけです。

例外を認めるアーミッシュのルール

アーミッシュのルールにはこういうふうに例外を許容しているケースが多い気がします。

厳しいルールでメンバーをがちがちに縛ることが目的じゃないからです。

自分たちのアイデンティティを維持するためのルールは大切だけど、厳しすぎるルールだと守れない。
守れないルールを守らせるのは無理だから、守れる程度のルールにしておく必要がある。

アーミッシュは持続可能性を一番重視しているのです。

「そんなルール守ってられないよ!」と投げ出されないように、許容範囲や例外をちゃんと設けている。

だから、アーミッシュのルールは時代に合わせてどんどん変わっています。

アーミッシュが民族としてすたれるどころか繁栄している理由も、このフレキシブルな考え方にある気がします。

昔ながらの伝統に固執せず、時代の変化を最低限は受け入れている。柔軟にルールを変えているのです。

車だって、はじめは運転することはもちろん、乗ることもNGだったはず。

だけど今は、乗ることは許容されている。

車社会のアメリカで生きていくには、やっぱり乗ることくらいまでは許容されていなくちゃ暮らしが立ち行かないと判断したからでしょう。

そうやって、許容できるぎりぎりのラインをそのつど見極めているところが、賢いと思います。

電話は使っても良いけど、家には置いちゃダメだよ、とか。
着る服は基本的には手作りだけど、コートやセーターなどの防寒具は買っていいよ、とか。
プレイステーションはダメだけどゲームボーイはいいよ、とか。

どこまでを許容して、どこからをNGにするかを一つ一つのトピックに対して慎重に決定を下しているのです。

アーミッシュの髪の毛を見てしまった瞬間

話が少し、ずれてしまいました。
もう一度アーミッシュ女性が髪の毛を隠すという話に戻ります。

一度だけ、髪の毛を隠していないアーミッシュを見たことがあります。

それは、アーミッシュの子ども達とトランプリンで遊んでいたときのこと。
子どもがあまりに激しく飛び跳ねすぎて、ボンネットが飛んでいってしまったのです。

私は、「あ、髪の毛丸出しじゃん! 大丈夫かな?」と一瞬戸惑いました。

でも、子どもはお構いなしにトランプリンで飛び跳ね続けている。

もちろん飛んでいったボンネットに気が付いているけど、遊ぶのを止めない。

その姿を見ていて、
「絶対に髪の毛を人に見せちゃいけない」というような脅迫観念はないのかな、と感じました。

もし「ルールを守らなくちゃいけない」という緊張感があったら、ボンネットが飛んでいった瞬間に遊ぶのを止めて取りにいくはずだから。

ルールを守らなくちゃいけない、という意識は実はあまりないんじゃないかと。
それよりも、ただ単に習慣として捉えているのではないか、という推測です。

子どもは特に焦ることもなかったし、私の前で髪の毛をあらわにすることに対して抵抗を感じているようには見えなかった。

ルールを守る、破る、という意識ではなく、あくまで習慣として髪の毛を隠している。

だから、たまたまボンネットが飛んでいってしまったけど、後でまた戻せばいいやー、くらいの軽い感覚なのかと。

気にしているのは私だけ


とはいえ、私の方はやっぱり気になります。

アーミッシュは髪の毛を人前でさらしてはいけないはずなのに、目の前にはボンネットも布も頭につけていないアーミッシュの子ども。
アーミッシュの髪の毛を見てしまったことに対して、「見てはいけないものを見てしまった」という謎の罪悪感がわいてきます。

あまり髪の毛をジロジロと見てはいけないんじゃないかと、視線をそらしながら子どもと遊び続けました。

当の本人は平然としているのに、私だけ動揺して挙動不審になっていたのが、おかしかった思い出。

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