2018年7月アーミッシュ村滞在ハイライト日記 <前編>

オハイオ州のアーミッシュコミュニティへ

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2018年7月。キューバへ1週間ちょっと滞在したあと、アメリカはオハイオ州のアーミッシュコミュニティへ向かいました。
途中、飛行機の遅延&乗り換え便乗り遅れでニュージャージ州に1泊。どうせなら!ということでニューヨーク市街を3,4時間ほど観光しました。

今回のアーミッシュコミュニティ訪問は私の中では通算4回目(オハイオ、ランカスター、ウィスコンシン)。オハイオ州に来るのはこれが3回目になります。

オハイオ州には私が親しくしているアーミッシュの友人がおり、彼女と彼女の家族との再開は3年ぶり。

さらに今回はひょんなことから知り合いになった現地在住のフォトグラファー一家ともお会いする約束があります。このフォトグラファーさんはノンアーミッシュですが、アーミッシュが多く住むエリアに住んでおり、120以上のアーミッシュの家具職人がクライアントとのこと。

アーミッシュ文化への理解が深い上に、なんと奥様が日本人というご縁。

アーミッシュの友人に会う前に彼の家に訪問し、夕飯をご馳走になりました。

家具ビジネスは、オハイオ州アーミッシュの一番の産業

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アーミッシュコミュニティ滞在中、私はいつも「メモ魔」と化します。いつも大量の発見・学び・忘れたくない情報が入ってくるので、少しも逃さないようにメモメモ。

写真の中の本は、アーミッシュの家具のカタログ。この家具の写真をフォトグラファーさんが撮影しています。

驚いたのは、オハイオ州ホルムス群のアーミッシュのメインビジネスは家具関連(木材加工関連)だそう。
かつてはアーミッシュの多くが農業に従事していましたが、現在は土地の値段が高く農業で家計を支えるほどの広い土地を持つのは難しいです。

反面、アーミッシュの家具はそのクオリティーの高さから全米で高い評価を得ており、一定の需要があります。上客を多く抱えるアーミッシュもおり、多くの家具ビジネスがここ、ホルムス群で展開されています。

このフォトグラファーさんの感覚だと、だいたい70%くらいのアーミッシュが家具関連(木材加工関連)の仕事に就いているのでは? とのことでした。

自分たちが食べるために畑を耕す

もともとアーミッシュの信徒は、ドイツやスイス、オランダなどの地方の農民の間で増えていきました。
彼らは農業をメインの仕事として、また立派な農夫とその妻になることが良い生き方という価値観を持ってきました。
(>>アーミッシュ宗派の起源を簡潔にまとめてみた

土地の値段が高騰し、農業をメインのビジネスにできなくてもそのアイデンティティは守っています。

たいていのおうちが、広大な土地ではないものの自家菜園を持っており、自分たち家族が食べるための食物を育てています。
お父さんは家具系の仕事をしているけど、お母さんと子ども達はみんなで協力して畑仕事をしている、というケースも多く見られました。

また、メインビジネスが終わった夜に畑を耕すことなどもあるそう。

アーミッシュの農業事情も、一つ前の世代からは変わってきていることが分かります。

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私のお友達アーミッシュの家庭にも自家菜園がありました。旦那さんは馬の蹄鉄をメインのお仕事にしており、この菜園は友達がいちから一人で面倒を見ています。3歳になる娘ちゃんがもう少し大きくなったらお手伝いしてくれるのでしょう。

常連客はアーミッシュばかりの食堂

オハイオ州滞在中によく行った食堂がKidronという街にあります。ここは、アーミッシュの家畜のオークション会場に隣接しており、オークションに来たアーミッシュが腹ごしらえによく訪れます。
店内は一般アメリカ人よりもアーミッシュの方が少し多め。キッチンにもアーミッシュが何人か働いていました。

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アーミッシュの家族も普通に食事を楽しんでいるスポットです。メニューはアメリカの田舎の素朴な家庭料理。なかなか美味しいです!

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ここらへんの食堂はどこもドレッシングの種類が豊富で、「ハウスドレッシング」というオリジナルを持っています。甘めですが、美味しい。

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併設されている靴・雑貨屋さんではアーミッシュのストローハットも売っていました。ずらりと大量に並んでいますが、細かくサイズが分かれています。アーミッシュは子どもから大人までストローハットを愛用しているので、自分の頭にぴったり合ったサイズを選びます。

これらのハットは地元のアーミッシュが手作りしているんだそう。中にはオーダーメードでハットをカスタムするアーミッシュもいて、帽子のツバの部分を広めにしたりと好みのアレンジを加えるんだとか。

靴は黒色が基本。茶色い靴は、黒く染める

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靴屋さんの店主に興味深いことを教えてもらいました。
アーミッシュは基本的に黒い靴ばかり履きます。服と同じ考え方で、できるだけ装飾のない控えめandシンプルが良しとされるからです。

でも、上質な靴で黒色を探すのは、ときに難しいことがあります。茶色系の皮の靴も多いから。そんなとき、アーミッシュは靴を染めるための写真の商品を購入して、自宅で黒色に染めるそう。

わざわざ染め直すとは、驚きです。しかし、アーミッシュにとっては市販の衣料品を自分たちのルール・価値観に併せてカスタムすることはよくあります。

例えば子供用の冬用コート。手作りすることができないような暖かい素材のコートはお店で買うこともありますが、その際に重視するのが「いかにパーツをはずしやすいか」。アーミッシュはポケットやフードなど余計なものを極力取り除きたいため、それらがどのように縫製されているかをチェックします。簡単に外せそうなものを購入して、自宅で縫製しなおすというわけ。
(>>アーミッシュも市販の服を買う。でも、○○に注意している。
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アーミッシュコミュニティでは一般アメリカ人とアーミッシュが共存しています。お店の駐車場にはアーミッシュバギー用のスペースもあります。
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一般道にはアーミッシュのバギーの走行もあるので注意。車と馬・バギーとの接触事故も多くあるので、追い越し時はいつも緊張しました。

子ども達がお店番。アーミッシュの手作りキャンドル屋さん

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運転中に見つけた小さな看板を頼りにアーミッシュのキャンドル屋さんを見つけました。アーミッシュのお店は目立つ看板を出していないので、見つけるのがなかなか難しいです。今回はたまたま見つけられて、ラッキー!

お店に入ると、5,6人くらいの子ども達がいてびっくり。聞いてみると、今は夏休みだから店番を任されているとのこと。小学1年生から5年生くらいの子が私たちの接客をしてくれました。

可愛いらしかったのが、その場で子ども達がキーホルダーを作ってくれるサービス。3ドルくらいだったかな?好みのアルファベットとビーズを選ぶと、アーミッシュの男の子が即席で組み立ててくれます。
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自分の名前で作ってもらいました♩ かわいい!宝物にします。

あとからお母さんが出てきて教えてくれたことがあります。なんと私の名前「MAHA」は、アーミッシュの言葉で「make something」という意味なんだとか。私の名前がアーミッシュの言葉に存在していること、しかもその意味が「何かを作る」という意味なこと。なんだか、自分の活動につながっていて宿命・使命を感じてしまいました。嬉しい。

これからもアーミッシュワンピースを作りながら、アーミッシュの文化を日本に伝えていきます。将来的にはアーミッシュと日本人の「縁」も作っていきたい。

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キャンドルはお店の向こう側になる納屋の中で作っているそうで、工房を見せて貰えることになりました。
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子ども達もついてきて、お母さんのキャンドル作りを間近で見ながら学んでます。小学生の女の子がキャンドル作りの過程をしっかりと説明してくれました。

ここの手作りキャンドル、いくつかお持ち帰りさせていただきました。次回8/31からの個展で展示・販売しますので、お楽しみに。

エアコンのあるアーミッシュのお家

私の友人アーミッシュであるデブラのお宅へ訪問。3年前、赤ちゃんだった女の子は3歳になり、納屋や庭を元気に走り回っていました。
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2年ちょっと前にお引越しをしたデブラ。購入した家の以前の持ち主は一般アメリカ人だったそうで、電気が通っています。そして、エアコンも家の中にあります。

普通、アーミッシュは電力会社からの電気供給を受けないで自家発電します。エアコンも持ちません。でも、まだ引っ越したばかりということもあり、「しばらくは電気を引いたままでも良い」と教会からお許しをもらっているそう。

さらに、デブラは深刻な頭痛持ち。オハイオの厳しい暑さの中、症状が重いときにエアコンなしで過ごすのもむごいということで、このまま永続的に許される可能性もあるとのこと。

アーミッシュの教会も例外は認めます。そして、柔軟にルールを変えていくのですね。

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寝室には美しいキルトが。デブラが自分で縫い上げたそう。

大好きな場所、アーミッシュのファブリックストアへ

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デブラと一緒に、デブラのおばあちゃんが営んでいる生地屋さんへ。ここ、私の大好きな場所です。

日本の生地屋と異なり、無地で落ち着いたカラーの布が豊富に揃っています。アーミッシュによる、アーミッシュのための布屋さんなので、柄物は置いていません。

アーミッシュドレスのカラーリングって、自然に調和する独特のトーンで日本だとなかなか見つけるの難しいです。なので、私にとっては天国のような場所。今回もいくつか、生地を仕入れてきましたので、ワンピースに仕立ててお披露目しますね。

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こんなふうに買い付けています。デブラもおばあちゃんも、私がアーミッシュ風ワンピースの制作販売をしていることに興味津々。どういうところをアレンジしているのかとか、縫製手順については見ただけですぐ分かるみたいで、「こんな生地はどう?」とおすすめしてくれます。さすが、プロ。

日本でアーミッシュのように毎日ワンピースで過ごす人がいるということに驚いていました。

新鮮な野菜。一年中保存できるお肉。

デブラの兄弟とお母さんお父さんにも会いに行きました。ちょうど畑仕事をしてて、立派なズッキーニを収穫。この日の夕食で私もご馳走になりましたが、やっぱり新鮮・安心な野菜は違います。

夏の強い太陽のもと、野菜たちだけでなく雑草もむくむくと育つらしく、手入れが大変だって言っていました。
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ビーフの瓶詰め。果物や野菜だけでなくお肉類も瓶詰めにして保管するアーミッシュ。オークションで買ってきた家畜を自分たちで潰して大量の瓶に保管します。半地下で保管すれば、冷蔵庫いらずで一年中もちます。

この日の夕食も瓶詰めが大活躍。BBQソースで肉を煮込み、パンでサンドイッチにして食べるんだそう。

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フォトブックに大喜び

夕食どきになりダイニングに兄弟たちが集まってきました。私が前回の訪問の記録まとめたフォトブックを渡すと、みんな大盛り上がり。

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アーミッシュは普段、写真を撮ってプリントしてまとめて保管する、ということを結婚式など特別な時以外しません。より厳格なアーミッシュのグループであるスワルツセントルーバーに至っては写真に映ること事態、良しとしません。

写真に関する見解はそれぞれの教区、家庭、個人によって違います。私が撮影させてもらった家庭の教会は写真に対して寛容な姿勢なのです。

真ん中にいる普通の服を着た男の子は長男です。まだアーミッシュとしての洗礼を受けておらず、手にしてるのはスマホです。
フォトブックを面白かって写真に撮ってました。お母さんはきっと、早くアーミッシュとしての洗礼を受けて欲しいと願っていることでしょうが、あまりしつこく言わず、本人の意思に任せています。

アーミッシュは幼児洗礼を認めず、自分の意思で信仰を選択することを重視します。親の子どもに洗礼を強いません。その決断ができるまで、あたたかく、(なかば呆れながら)見守るようです。
(>>自分の意思で洗礼を受けて、「アーミッシュ」になる

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それにしても、本当にこのフォトブックは好評でした。今は亡き愛馬が写っていたり、まだ小さい子ども達の姿が面白いらしく、「この馬、まだこんなに小さい」とかコメントをくれます。
また、写真の光とか構図に関しても「この角度が良い」などの感想をもらい、なんだか嬉しかったです。私の活動ができているのは彼らの協力のおかげ。こうして喜んでくれることが、せめてもの恩返しになればと思います。

彼らが見ているのはこちらです▽

さてさて。滞在記ハイライト日記前編はここまで。後半もまたすぐ、アップしますのでぜひ、お楽しみに。

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