自分の意思で洗礼を受けて、「アーミッシュ」になる

アーミッシュは「再洗礼派」というキリスト教の一派


アーミッシュはキリスト教の一派なのですが、「再洗礼派」というグループに属します。

再洗礼派とは、幼児洗礼を認めないグループ。

このグループの人達は、赤ちゃんのときに洗礼を受けてキリスト教徒になるのではありません。

大人になってから自分の意思で洗礼を受け、正式にキリスト教徒となります。

アーミッシュも再洗礼派の中のいちグループ。

洗礼を受けると、正式に教会のメンバーとなります。

教会のメンバーになるということは、正式にアーミッシュになるということ。

つまり、洗礼を受けることと、アーミッシュになること、教会のメンバーになることは同時に達成されます。

アーミッシュの子供はまだ”正式”にはアーミッシュじゃない

大人になってから自分の意思で洗礼を受けますから、

厳密にいうとアーミッシュの子供はまだ正式なアーミッシュではありません。

教会のサービスは受けますが、正式なメンバーではありません。

ですので、言ってみれば、アーミッシュの子供たちは教会の定めるアーミッシュ独特の掟を守らなくても良いのです。

教会の定めるアーミッシュの掟というのは、例えば車を運転しないとか、スマホを持たないとか、派手な服を着ないとか。

もちろん、アーミッシュの親は子供をアーミッシュとして育てるので、ほとんどの子供たちはこのルールの範囲内で暮らしています。

アーミッシュの服を着て生活しているし、アーミッシュの学校に通うし、アーミッシュの言葉を話す。

その一方で、仕事のために車の免許を持っていたり、デートで映画館に行ったり、スマホで友達と連絡をとり合ったりしている若者もいるのです。

それは、まだ正式な教会メンバーになっていないので許されているということ。

アーミッシュらしからぬ生活をおくる長男

興味深い写真があります。

私の滞在していた家庭の日常的な洗濯物の風景です。

よく見ると、アーミッシュのズボンの中にひとつ、私たちが着るような普通のジーンズがあるのです。

左から二番目のジーンズです。

他のズボンと形が違いますよね。

アーミッシュはジッパーを使いません。
ジッパーは不必要なものとしていますので、アーミッシュの服にジッパーはないのです。

それなのに、洗濯物の中にはジッパーがついた普通のジーンズがある。

これ実は、この家庭の長男のはいているジーンズなのです。

17歳の長男はまだ洗礼を受けていないので、アーミッシュの服以外を着ることが許されています。

彼はジーンズにプリントTシャツという「普通のアメリカ人」の格好で生活していました。

一見すると、アーミッシュだとまったくわかりません。普通のアメリカ人の若者。

彼は建設現場で働いていて、仕事で自動車を運転する必要があるため車の免許も持っています。

そして、アーミッシュが普通使わないスマートフォンも持っていました。

長男のふるまいを冷静に受け止めている両親

長男がいくらアーミッシュの道からはずれた生活をしていても、彼の親は特別に注意をしません。

「いつか決断しなくちゃいけないけど、今はまだその時じゃないみたいね」なんて、冷静に彼のふるまいを受け止めているよう。

お母さんがこう言っていたのが印象的でした。

「私たちは彼の行動に対して、良いとも悪いとも言っていないし、何も言ってないの。
もちろん、アーミッシュになる選択をして欲しいけど。それは彼が決断することだから」

85%以上の若者が、アーミッシュになることを選ぶ

彼は今、17歳。
早い子は16歳で洗礼を受けるけど、30歳前後で洗礼を受けるアーミッシュもいます。

彼がどういう決断をするのかわかりませんが、私は、いつか洗礼を受けると思っています。
洗礼を受けて、車の免許スマートフォンも捨てると思う。

なぜかって、アーミッシュの若者のほとんどがそういう選択をするからです。

驚くことに、アーミッシュの子供たちの85%以上が、洗礼を受けてアーミッシュとして生きていくことを選ぶとのこと。

洗礼を受けない選択をするアーミッシュは10人に1人だけなんです。

確率論でいうと彼が洗礼を受ける可能性の方が圧倒的に高いです。

さらに、16歳で洗礼を受け、既に結婚している彼のお姉ちゃんも「いつか洗礼を受けると思うよ」と言っていました。

次に彼に逢うときが楽しみです。
もしかしたら、ジーンズもスマホも車の免許も捨てて、シャツと吊りズボンに麦わら帽子の姿で迎えてくれるかもしれません。

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