アーミッシュから、子育てのノウハウを学ぶ

この記事の目次はこちら
1、子育てを、アーミッシュから学ぶ事
2、赤ちゃんの時から、「忍耐」「我慢」「待つ事」を教える
3、家庭の中で「自分の仕事」を与え、責任を持たせる
4、子育ての負担を家族、親族、近所の人と分け合う
5、テレビ、ゲーム、パソコンに「子育て」の機会を奪われないようにする
6、勉強をし過ぎない
7、家庭は社会、家族はチーム、子どもはチームの一員
8、競って勝つ事ではなく、許し合う・助け合う事が大切と教える
9、大人と同じ事を子どもにもさせる。子ども扱いしない。
10、上手にできなくても良い。子どもの仕事は大人がしっかりフォローしてあげる
11、アーミッシュの子育てについて、これからも調査していきます

子育てを、アーミッシュから学ぶ事

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アーミッシュの子育て方法について詳しく知りたいという声を聞く事が増えてきました。
私も、彼らの子育てについては何年も前から興味津々で、アーミッシュカントリーに訪問するたびに注意深く観察するようにしています。
そこで、いくつか気がついた事、なるほどなと思った事をまとめてシェアしたいと思います。
日本では、子どもにできるだけ高いレベルの教育を受けさせて、良い大学に入って、幸せになってもらいたいと願う傾向があると思います。
日本だけでなく、どこの国でも一緒ですが、アーミッシュの人達は異なります。
まったく違う幸せの価値観を持って子育てをしている人達が、今この現代に存在しているという事は、なんとも驚くべき事かと思います。

アーミッシュの社会は今、人口も増え経済的にも発展しています。都市部に人口が集中して地方が過疎化・高齢化していくという深刻な社会問題も抱えておらず、田舎にも関わらず若者と子どもが多く活気が溢れています。

少子高齢化もなく、過疎化もなく、経済発展しているという事を考えると、彼らはある意味で、成功をおさめていると見て良いと思います。
そう考えると、アーミッシュの子育てについて、「時代遅れの人達の時代遅れの子育て方法」と一掃する事はできそうにもありません。

むしろ今こそ、彼らの文化から私たちが学ぶ事があるのは? そんなふうに思います。

アーミッシュの人口は20年ごとに2倍になるスピードで増え続けており、その理由の一つに子沢山という背景があります。

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一つの家庭で、平均7人の子どもを育てるアーミッシュ。子どもがたくさんいるので、子育てに関する経験値が豊富であり、言ってみればプロフェッショナルです。

彼らが蓄積し、実践している子育てのノウハウは、きっと洗練されていて、実践に即しているものなのでしょう。

では、私が目撃し、観察し、考察した「アーミッシュの子育て方法」について、しばしお付き合い下さいませ。

赤ちゃんの時から、「忍耐」「我慢」「待つ事」を教える

アーミッシュカントリーを旅していると、たくさんの子ども達を目にします。
スーパーやレストランなどで大人と一緒にいる子どもを頻繁に見かけますが、みんなよくしつけられています。
ぐずっている子、泣きわめいている子、わがままを言って親を困らせている子は見た事がありません。これは、誇張でもなくひいき目でもなく、アーミッシュカントリーを旅した人みんなが驚く事でもあります。

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あまりに子ども達が落ち着いた振る舞いをしているので、最初はびっくりしました。
「騒いだり泣いたりしたら、後からムチで叩かれるとか、何か罰が待っていたりするのかな??」などと、変な想像をした事もありました。

でも、騒いだらムチで叩かれるとか、ご飯を抜かれるとか、そういう事はないそうで(←何度も繰り返し注意しているにも関わらず悪い事をする場合、お尻ペンペンはあるらしいです)。
子ども達は本当に小さい時から、「待つ事」や「忍耐」「我慢」を教えられるそう。

それは、本当に小さい時からです。アーミッシュの親は、子どもがまだハイハイをしているうちから、「我慢する事」を教えはじめるんだとか。
オムツ替えのときに、足をバタバタと動かさないようにするとか、その時点からしつけはスタート。そんな小さい時から何かを教えても、子どもは分からないのでは? と思いますが、違うんですね。
アーミッシュ曰く、「まだハイハイをしている時から、忍耐を教える事は可能」と。

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アーミッシュの親は、しつけは愛情表現の一つだと考えています。「子どものしたい事はなんでもやらせる」という事は、長い目で見たときに悪い結果を引き起こすと考るので、しっかりしつけ、ルールを教え込みます。そしてもう一つ。子どもがきちんと「忍耐」を学ぶまで、大人はもっとはるかに忍耐強く、子どもと向き合うそう。

アーミッシュの本にこんな言葉も見つけました↓

「子ども達は、私たちにたくさんの事を教えてくれる。例えば、自分がどれくらい忍耐強いか、とかね。」

幼稚園や保育園がないアーミッシュコミュニティ。
子どもは家庭の中で大きくなります。つまり、親は子どもと多くの時間を過ごしています。
(そのおかげなのか、子ども達はどことなく満たされているように見えます。)

子どもと向き合う時間、一緒に過ごす時間を十分にとっているからこそ、子どもに教えられる事も多いのでしょう。しつけをするチャンスもたくさんあります。

子ども達が忍耐強いのは、大人たちがもっともっと忍耐強く、時間をたくさんかけて、子ども達をしつけているからなのかな、と感じています。

家庭の中で「自分の仕事」を与え、責任を持たせる

家の中で、子ども達それぞれが「自分の仕事」を持っているのも、アーミッシュ家庭の特徴。
小学生低学年くらいの年齢の子は、たいてい「食器洗い→洗った物を拭く→棚に片付ける」という一連の流れを仕事として与えられています。この仕事のポイントは、毎回、必ずやらなくてはいけないという事。

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気が向いた時とか、暇な時だけやる気まぐれのお手伝いではなく、毎日必須の仕事です。子ども達はこれをルーティーンとし、責任と自信を持って取り組んでいます。

「一家の生活は、自分が食器洗いをするからこそ成り立っているもの。自分は一家の一員として役に立っている。」そんなふうに感じて取り組んでいます。

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<↑小学校に上がる前の女の子。家畜へミルクをあげるのが、この子の毎日の仕事。>

ある日の事です。
私がアーミッシュの家庭でごはんをごちそうになったので、お礼として食器洗いを率先してやっていました。そうしたら6歳くらいの女の子が、「食器洗いは私の仕事なの。やってくれて、ありがとう」と丁寧にお礼を言ってきました。

その様子が、ものすごく真剣で、しかもたいして嬉しそうでもなかったので、私はなんだか不安になりました。もしかしたら私、余計な事をしてしまったのではないか? と。子ども達は、自分の仕事に責任を持っていて、その仕事をこなす事で家族のメンバーとしての自信・存在意義を感じています。
そんな大切な仕事を、私が軽々しく奪ってしまったのかもしれないと罪悪感を感じたのです。

それ以降、食事をごちそうになっても、必要以上にしゃしゃり出ないように注意しています。

子ども達は自分の仕事を嫌だとも、サボりたいとも思っていないように思います。誰かがその仕事をやってしまったら、むしろ軽い喪失感すら感じるのでは? そのくらい、アーミッシュの子どもにとって家庭でのお手伝いは大切な、自分の仕事。当たり前のルーティーンなのでしょう。

年齢によって、与えられる仕事は変わってきます。小学校高学年になると、洗濯や掃除を任せられます。男の子の場合は、納屋での掃除や家畜の餌やりなど。年齢と性別に合わせて、だんだんと高度な仕事を任せられます。

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子ども達は、より高度な仕事を任せられる事を「ステップアップ」のように捉えているように、はたから見ていて思います。例えば私たちが、英会話スクールに通っていて、ある日一つ上のレベルのクラスに通えるようになったとしましょう。
そういう時は、自分の成長を感じられて、また他者から自分の力を認められたという事を嬉しく感じますよね。
それと同じで、家庭内でより高度が仕事ができるようになった事に、アーミッシュの子ども達は満足感と自分の成長を感じているように思います。

20歳になるある女の子は、もう1人で瓶詰め作業ができます。お母さんと2人で瓶詰めをしていても、「お母さん、もう私1人で大丈夫だから、あっち行ってて」とお母さんを追い払うそう(笑) 家事が「できる」という事は、アーミッシュの家庭では大きな「価値」。できる事が増えて、人を助けられるようになる事は、彼らにとって喜ぶべき成長です。

子ども達のお手伝いの様子は、著書「アーミッシュカントリーの美しい暮らし」にも詳しく書きました。良かったら参考に。

子育ての負担を家族、親族、近所の人と分け合う

親だけでなくその他大勢が子育てに参加する事も、アーミッシュの子育ての特徴。日本でよくある「ワンオペ」とは無縁です。

下の子を面倒みるアーミッシュの女の子
<↑姉妹のように見えるけど、実は「叔母さん」と「姪っ子」>

そもそも子沢山の家庭なので、まず赤ちゃんの時から上の兄弟姉妹達が面倒を見ます。子沢山という事は、おじさんやおばさん、いとこなどの親戚も多いという事。アーミッシュは都市部に人が流出するという現象がないので、親戚中がみんな近くに住んでいるケースが多いです。(行動範囲が広がり過ぎないように車ではなく馬車を利用するなど、家族がバラバラにならないような仕組み・ルールを持っています)
子育ても、親戚中がみんなで取り組み、助け合います。幼稚園や保育園がなくても子育てが成立するのは、面倒を見てくれる人がたくさんいる環境がどこの家庭にも用意されているから。

「自分1人で子育てをするわけじゃないし、みんなが手伝ってくれるから、子どもは何人できても構わない。何人の子どもを持つかは、私の意志ではなくて、神様の意志だと思う」
私の友人のアーミッシュは、そんなふうに語っていました。

子どもは、上の兄弟たち、おじさんやおばさん、いとこなどなど、たくさんの人に囲まれて育っていきます。多くの人に囲まれて育つので、社会性や社交性も身に付けやすく、また両親以外のロールモデルにも囲まれています。

親にとっては、子育ての悩みや不安を相談できる人が無限にいるというのも、恵まれています。

また、親兄弟親戚だけでなく、近所同士がベビーシッターをし合って助け合う事もよくあります。結婚式やお葬式などのイベント時には、家族・親戚が全員出払ってしまう事もあります。そんなときに頼りになるのが近所の人達。

子育てをしている近所の人を探すのは、日本ほど難しくありません。なぜなら、子どもがたくさん産まれるから。
同世代の子どもを育てる近所の人と協力して、家族親戚に頼れないときは子どもを預け合います。
持ちつ持たれつの関係なので、ベビーシッターを頼んだり頼まれたりしても、金銭のやりとりは発生しないそうです。

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<↑近所の赤ちゃんをベビーシッターしている15歳の女の子。おむつ替え、寝かしつけもできる。そして将来、自分が母親になったとき、スムーズに子育てをこなす事ができる。>

・家族に囲まれている。
・親族が多い。
・子育て中の近所の人がたくさんいる。

……こういう環境は、子沢山で人口が増えているアーミッシュ社会特有の恩恵。少子化社会に生きる私たちが真似しようと思っても、真似できないのが悔しいところです。

それでも、なるべく親元に住むとか、地域のつながりを意識的に強めてみるとか、子育てに関わる人を増やしていく努力はできるのかもしれません。

子育ての負担はそもそも、本来分け合う物であって、1人や2人で抱え込む物ではないのだと思います。
そう思うと、ワンオペや家族の協力が少ない環境で子育てをしている日本の親達に、もっともっともっと、支援の手を差し伸べる必要性を感じます。

テレビ、ゲーム、パソコンに「子育て」の機会を奪われないようにする

テクノロジーになるべく依存しないというポリシーを持つアーミッシュ。家の中にテレビはもちろん、ラジオ、音楽機器、パソコン、スマホ、ゲームなどがありません。
その変わり、家族同士が話したり、助け合って家事をしたり、一緒に遊んだりする時間をたっぷりととります。

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<↑「姪っ子」に遊びのルールを教えてあげている「伯父さん」>

子ども達の話に耳を傾けたり、本を読み聞かせたり、家事を教えたり、一緒に聖書を学んだり……。子どもを育てる責任は、すべて親にあります。学校や行政にその責任は預けられません。家庭こそが、大切な教育の現場であるとアーミッシュは考えます。

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もちろん、アーミッシュの学校で読み書きや算数などは学びますが、人生で学ぶべき事は、机に座っているだけでは学べないと考えています。それを、家庭で教える必要があると考えているのです。

家庭は子どもを育てる場所。時間は子どもを育てるために使う物。テレビやゲーム、パソコン、スマートフォンにそういう貴重な機会が奪われないように、アーミッシュの人達はそれらをライフスタイルから排除しているのです。

 

勉強をし過ぎない

アーミッシュの子ども達はお世辞にも学力が高いとは言えないと思います。
アーミッシュの大人達も、広い視野を持っているとか、ものすごい知識量があるとか、そういう人は多くはないです。

もっとも、知識と知性は異なります。知識がたくさんあっても知性が劣る人はたくさんいます。逆もしかり。
アーミッシュの人達に限っていうと、知識よりも、知性とか暮らしの実践力とか社交性が高い人が多いと感じます。

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アーミッシュは高等教育を受けず、8年間の教育で学業を終えます。

あまり多くの事を頭に詰め込む、視野をどんどん広げる事はよしとしていません。8年間の教育で英語や算数、読み書き、地理などを学べば、人生に必要な事はその他の生活から学べると考えます。むしろ、机の上以外からこそ、学ぶべき事が多いとしています。

塾や予備校にも行かないし、宿題も出ません。高校や大学に行かないので、受験勉強もしません。学力や知識量は一般アメリカ人と比較したら劣るのかもしれませんが、そういう選択もありだと私は思います。

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むしろ良い事もあります。例えば、教育費がかからない事。
塾にお金を払い予備校にお金を払い大学に授業料を払う……。子どもを1人育てる際の教育費は莫大です。
教育費を払う自信がないからこそ、子どもを持つ事に消極的な夫婦はたくさんいます。これは、少子高齢化の一因にもなっています。
日本がそもそも学歴社会であり競争社会であるので仕方がない面も多いかと思います。私自身、大学まで行かせてくれた親には感謝でいっぱいです。

ただ、時にアーミッシュの社会がうらやましく感じる事もあります。

彼らの世界では、学力が高い事・知識量が多い事・高い学歴を持っている事は価値でも何でもありません。
それよりも、キリスト教徒として神様の意に沿う暮らしをしているかが大切です。競争に勝って富や名声を得る事は「成功」ではありません。
むしろ、少ない物・持っている物に満足し、他者や年上・目上、ひいては神様の事を敬って、自己実現よりもコミュニティや家族の維持・結束を優先する生き方が良しとされます。

高等教育がない事でもう一つ良い事がありますが、それは、若者が都市へ流出しないので、過疎化がない事。

高い教育を受けるためにはどうしても都市部へ行く必要があります。日本でも、地方の学生達は主要都市にある教育機関を目指し、卒業してもそのまま田舎に帰ってこないという現象が多々あります。

アーミッシュ社会ではそういう事はありません。学歴を得るために若者がいなくなる現象がないのです。

学業に専念する事や、学歴を得る事が悪とは言えないのですが、そのためには家・故郷を離れる必要がある事は確かだと思います。

アーミッシュの人達は、家族の結束・コミュニティの結束を維持するために、高等教育を制限しているとも言えます。

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日本に生きていると、教育や学歴は、あればあるほど、高ければ高いほど良いと思いがちですが、実はそんな事もないのではないでしょうか? ハイレベルな教育を子ども達が受ける事で失われる物もある。

アーミッシュの選択を見ていると、そんな事実に気づかされます。

家庭は社会、家族はチーム、子どもはチームの一員

アーミッシュの家庭では、子どもの面倒はそう大変ではありません。
学校がお休みになると、むしろ親たちは喜びます。なぜながら、子ども達が家にいてお手伝いをしてくれるから。
現代の家庭では、「学校がなくて子どもが家にいるから、面倒を見るのが大変」という状況の方が多くないでしょうか? アーミッシュの家庭では、真逆という事です。「子どもが家にいてくれて、助かる」と感じているお母さん、お父さんの方が多数派です。

こちらは、アーミッシュのお母さんの言葉↓

Children are useful, needed, and wanted. They help with the work around the farm and do household chores, learning to be useful at a young age.
(子ども達は、とっても助けになってくれるし、必要とされているし、求められている。彼らは畑や家の中の仕事を助けてくれる。そうやって、自分が人の役に立つ存在である事を若いときから学んでいます。)

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小さな時から人の役に立ちながら育つアーミッシュの子ども達は、自分の事くらいは自分でできるようになります。自分の事が自分でできないようであれば、人の役に立てないので当然です。

日本では引きこもりや、大人になっても働かないで親に面倒をみてもらっている人が問題になっていますが、アーミッシュの社会ではありえない現象だと思います。
10代にもなれば立派な大人として、家の仕事をこなすどころか、人助けをする役割に周ります。私がはじめてアーミッシュカントリーを訪問したとき、年齢は22歳頃でした。アーミッシュの22歳といったら、もう一人前の大人です。子どもが2-3人いても珍しくないし、自分の家庭を持って家族やコミュニティを運営する側の立場です。
22歳の私は、同世代のアーミッシュの女の子達と比べると、圧倒的に「子ども」でした。一緒にいると、あまりに自分勝手で自分の好きな事ばかりして家族にも地域にも貢献せず生活力のない自分が恥ずかしくなる事もしばしば。
そうゆうわけで、一番私と気が合ったのは、9歳も年下の女の子でした。その女の子と私の精神年齢は、ほぼ同じでした。

競って勝つ事ではなく、許し合う・助け合う事が大切と教える

アーミッシュの生活を見ていて気がついた事があります。それは、「競争」があまりない事。

「人と人とが競い合って、勝つ事が大切。そのために努力する事は素晴らしい」。
そういう価値観があまりない気がします。

学校のテストで順位を付けたりしないし、部活動もないので大会やコンテストに出場する事もありません。
運動会を開催して色々な種目でチーム同士が競い合う事もしません。

卓球、ドッジボール、ソフトボール、バレーボールのスポーツはやりますが、その他のスポーツはメジャーではないです。

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そういう機会がないからなのか、アーミッシュの人達は人より抜きんでようとしたり、目立とうとする闘士を感じません。これは、子ども達もそうなのです。

この事は、アーミッシュが大切にしているキリスト教の教えに由来があると思います。それは、謙虚である事・人を許す事。
例えば兄弟喧嘩。子沢山なアーミッシュは、兄弟姉妹が多いです。当然、兄弟喧嘩も激しいのでは?と想像しますが、兄弟喧嘩をしている子どもを見た事がありません。

子どもは親から、「相手を許す事」「相手に譲る事」が大切だと教わるそうです。
少ないお菓子やケーキを取り合ったりするのではなく、相手に譲る事。
おもちゃを取られても許してあげる事。
喧嘩をして例え相手が悪くても許す事。

そういう価値観を子どもの時から教わります。このへんの価値観は、書籍「アーミッシュの赦し」(亜紀出版)に詳細に書かれています。
アーミッシュの赦し――なぜ彼らはすぐに犯人とその家族を赦したのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)
アーミッシュの学校で起きた銃乱射事件に関する書籍ですが、事件後アーミッシュ達が加害者とその家族を「赦した」という事について、かなり深ぼって書かれています。
これを読むと、アーミッシュが子どもの時から「赦す行為」を大切にしている事がよく分かります。

ちなみに、アメリカ社会では「裁判を起こす事」がよくありますが、アーミッシュの人達は誰かを裁判所に訴える事をしません。(訴えられる事はありますが) これも、「相手を赦す」価値観がベースになっているそうです。

勝つ事よりも、許す事。
この価値観を大切にしているから、アーミッシュの家族間・兄弟間では争い事が圧倒的に少ないように思います。もちろん、ゼロではないはずですが。

大人と同じ事を子どもにもさせる。子ども扱いしない。

子どもは大人の真似っこが大好き。これは、どの世界にも共通している子どもの性質だと思います。おままごとでお母さん役やお父さん役になって遊ぶし、小さな車のおもちゃを動かして遊ぶし、お人形の面倒をみたりご飯を食べさせたりします。

家の中でも、お父さんやお母さんがやっている事に興味津々。料理を作っていたら自分もやってみたいと手を出してくるし、見様見真似で掃除や洗濯もやろうとする。

そんなときに、アーミッシュの親達はなるべく「そのままやらせる」ように環境を作ります。

畑には「Children’s Garden」というスペースがあって、子ども達が自由に作物を育てるスペースがあります。こうすれば、大人が畑仕事をしているときに、子ども達も真似して畑仕事ができる。

大人たちが馬の世話をしていると、子どもも世話をしたがります。なので、アーミッシュの子どもは自分のポニーを飼っている事が多いです。
大人が大きい馬を世話をしている間に、子どもは小さな自分の馬を世話するのです。

お母さんがパンをこねているとき、パン生地を少し子どもに分け与えます。子ども達はそのパン生地をこねくりまわし、ねんど代わりにして遊んだり、頑張って成形したりもします。

こんなふうに、大人のやっている事を真似したいという子どもの欲求を、なるべく叶えるように環境を準備してあげます。そうすると、子ども達は大人がやっている事と同じ事がだんだんとできるようになる。

少したつと、大人と同じように立派な作物を作れるようになるし、大きな馬の世話もできるようになるし、パンも焼けるようになります。そういうわけで、大人のお手伝いも難なくこなせるようになります。

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家庭生活のすべては、子どもが学ぶ機会。大人を真似たがる子どもを抑制しないで、そのまま真似をさせる事でスキルを身に付けさせるというアーミッシュ流の現場教育。

「あなたは子どもだから、まだできないでしょ」
「大人になってからね」
「子どもは向こうで遊んでてね」

という言葉を子どもに向ける親はほとんどいません。子どもと大人の隔たりがほとんどなく、子どもを子ども扱いしないのがアーミッシュ流です。

あるアーミッシュのお母さんに、「子ども達にどうやってお手伝いをするように教え込むの?」という質問をしてみました。回答はこちら。

「教え込むって事はしないわよ。子どもは基本的に、家事でも何でもやりたがるから、やらせるの。もちろん、うまくできなかったり、時間がかかったり、逆に散らかしてしまったり、全然手伝いになってない事も多いけど。少しずつ軌道修正をしてあげると、スムーズにこなせるようになっていくのよ。とっても自然に、お手伝いをするようになるわよ。私自身もそうやって育ったし。子どもが手伝いをするのって、むしろ自然な事なんじゃないかしら。」

この回答には、ハっとさせられました。

上手にできなくても良い。子どもの仕事は大人がしっかりフォローしてあげる

ある日。私は衝撃な光景を目にしました。
朝の7時。9人の子どもがいるアーミッシュ一家に訪問しました。一家はちょうど、朝ごはんを終えたところ。普通、このタイミングのお母さんって大忙しではないでしょうか? 子どものお弁当を準備したり、お皿を洗ったり、学校の持ち物を準備したり……。やる事はたくさんあるはず。
それなのに、お母さんはソファにドシンと座って、ゆっくりコーヒーをすすっていたのです。そして、子ども達が自分でお弁当をつめたり、お皿を洗ったり、テーブルの後片付けをしたりしているのです。

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これには、たまげました。

お母さんはコーヒーを飲みながら、子ども達に指示をおくっています。「次は冷蔵庫の中にあるフルーツをお弁当に入れなさい」とか、「生ゴミは畑のコンポストに捨ててきなさい」とか、「それが終わったらテーブルの上をフキンで拭きなさい」とか。

ゆっくりしてはいるけど、しっかり子ども達を監督して、やるべき事を指示していました。子ども達も、お母さんの指示を仰ぎながら自分のやる事を淡々とこなしていました。

さらに驚いたのは、子ども達が学校に向かったあとに、お母さんが子ども達の仕事をやり直していた事。子どもが拭いたテーブルは、パンくずが残っていたり、やっぱり不完全。布巾をしっかりと絞って、お母さんが改めて拭き直していました。

食器洗いや食器棚の整理も、乱雑になっている物を整理整頓して、子ども達の不完全な仕事をフォローしていたのです。

お母さん曰く
「小さい頃から働く事に慣れておかないと、働けない大人になる」と。
自分がやった方が早く終わること、綺麗にできる事でも、あえて子どもにやらせるようにしているんですね。
そして、隠れたところで子どもの仕事の後片付けや仕上げをしてあげているという……

子どもが9人もいてただでさえ大変なはずなのに、、、なんだか心を打たれてしまいました。

アーミッシュの子育てについて、これからも調査していきます

子育てについては、色々な方針や考え方があると思います。なので、必ずしもアーミッシュの子育て方法が理想ではありません。アーミッシュの社会にも社会問題はあるので、改善するべきところはもちろんあるはずで、私も実際に苦しんでいる家庭の存在を知っています。

それでも、「あ、この子育て方法、いいな。参考になるな。学べるな。」と思うポイントは多くあります。この記事で書いている事が、読者の方にとっても少しでも参考になば、嬉しいです。

また、私が訪問したアーミッシュ家庭の姿が、そのまますべてのアーミッシュ家庭を代表しているとは言い切れません。だからこそ、このテーマについては、私自身もう少しフィールドワークを重ねていきたいと思っています。

また新しい学びや発見、気付きがあれば、そのつどシェアしていきます。instagramでも随時、アーミッシュ文化について発信しています。

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2 件のコメント

  • 松原 学 より:

    我が家と同じ考えで、なぜか、納得しました。
    一度、暮らしぶりをこの目で見てみたいものです。
    ありがとうございました。

    • amish より:

      アーミッシュとの共通点のある育児を実践されているのですね。
      素敵です。
      いつか、日本の子ども達がアーミッシュの暮らしを体験する機会を作りたいな、と夢見ています。

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